原点を読み直す ― ジェンドリン「人格変化の一理論」

池見陽先生より ― なぜ、いま「人格変化の一理論」なのか

哲学者・心理療法家であったユージン・ジェンドリン(1926–2017)の「フォーカシング」は、今日広く知られるようになりました。その一方で、ジェンドリンの心理学理論や、技法として体系化される以前に定義されていた「体験のあり方としてのフォーカシング」は、次第に忘れられつつあります。

1964年に発表されたジェンドリンの論文「人格変化の一理論(A Theory of Personality Change)」は、従来の人格理論を批判的に検討し、独自の心理学理論を展開した画期的な論文です。ロジャーズ、サリヴァン、古典的精神分析を批判しながら、無意識や自己といった概念をまったく新たな視点から捉え直す本論は、今日においてもなお、人間理解や心理療法における介入の意義などについて深い示唆を与えてくれる力作です。

※本セミナーの英語版は、池見陽が(米)国際フォーカシング研究所(The International Focusing Institute/オンライン)にて2026年8月より全4回シリーズで開講しました。120名の参加者が30ヶ国から集まりましたが、日本人の参加は少なく、日本にもこの内容を届けたいという思いから、このたび日本語での開講となりました。

MRスタッフ

池見先生、なぜ今、「人格変化の理論」を取り上げるんですか?

池見先生

人格構造は、固定されたものではなく、変化している。では、それはいったい、どのように変化するのでしょうか。
心理療法の理論には、古くから必ずといってよいほど人格理論が伴ってきました。症状がなくなっただけでは、本当の意味での変化とはいえない。人格構造そのものが変わらなければ、真の変化には至らない——そう考えられてきたからです。精神分析には幼児期の性的発達理論があり、ユングには集合的無意識の理論がある。ロジャーズにもサリヴァンにも、それぞれ独自の人格理論がありました。

では、フォーカシングの人格理論は? 実はこれ、意外なほど知られていないんです。

しかも、その内容は少し複雑です。ある意味では、従来の人格理論そのものを否定しているともいえる。人格が「どのように形成されるか」ではなく、「どのように変化するか」——ジェンドリンが示すのは、まさにそのための理論なんです。そんな理論、これまで読んだことがないでしょう? だからこそ今、取り上げたいんです。

「人格変化の一理論」とは

「人格変化の一理論」(原題:A Theory of Personality Change、1964年)は、ジェンドリンがロジャーズ、サリヴァン、古典的精神分析の人格理論を批判的に検討しながら独自の理論を展開した論文です。

人格を欲動や特性など固定的な「内容」として捉える従来の枠組みでは、その内容がなぜ、どのように変化するのかを説明できないとジェンドリンは指摘しました。そのうえで、頭で理解するだけでは人格は変化せず、いま・ここで感じられている意味(フェルトセンス)に深く触れ、応答することによってはじめて、抑圧されていた経験や自己のあり方が組み替えられていく、と論じています。またこうした変化は、セラピストとの直接的な人間関係のなかでこそ生じやすいことも強調されました。

無意識や自己という概念を「体験過程(experiencing)」という新たな視点から捉え直したこの論文は、技法としてのフォーカシングが広まる以前の、ジェンドリン思想の核心を示すものであり、今日の臨床にも通じる示唆に富んでいます。

出典:E. T. Gendlin(1964)”A Theory of Personality Change” /日本語訳:村瀬孝雄 ほか(参考:The International Focusing Institute 日本語サイト)

本セミナーで読み解いていくこと

  • ロジャーズ、サリヴァン、古典的精神分析への批判的検討
  • 「内容」としての人格理論が抱える限界
  • 体験過程(フェルトプロセス)という新しい視点
  • 無意識・自己の概念の捉え直し
  • 心理療法における介入の意義への示唆

講師

池見 陽(いけみ あきら)先生

臨床心理士/医学博士/関西大学名誉教授
世界的フォーカシング指導者


ボストンカレッジ心理学・哲学専攻を卒業後、シカゴ大学大学院でユージン・ジェンドリン教授に学ぶ。日本人間性心理学会常任理事、日本フォーカシング協会会長、(米国)フォーカシング研究所理事・評議員、ユージン・ジェンドリン研究センター運営委員長、(英国)世界パースン・センタード及び体験過程療法学会理事等を務める。

日本全国のほか、国際学会での講演・ワークショップ、英国、アメリカ合衆国、オーストラリア、スイス、ギリシャ、ベルギー、中国などワールド・ワイドにフォーカシングの指導に取り組んでいる。2019年アメリカ・カウンセリング協会発行のJournal of Humanistic Counseling 誌よりLiving Luminary (存命の輝ける大家)に任命される。2020年日本人間性心理学会学会賞受賞。

開催日

2027年(全3回)

1月19日(火)19:30ー21:30
1月26日(火)19:30ー21:30
2月2日(火)19:30‐21:30

オンライン開催

Zoomをもちいたオンラインセミナーとなります。必要なものはパソコンもしくはスマートフォン、タブレット等です。スマートフォンとタブレットの場合にはあらかじめアプリをインストールしておく必要があります。ダウンロードは以下のアドレスから可能です。参加方法は非常に簡単で、事前にこちらから送るURLアドレスをクリックすれば、セミナーに入室することができます。

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メディカルリクルーティング事務局: info@medical-recruiting.jp

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●録画映像の視聴期間
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臨床心理士資格更新ポイント申請予定です。

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原点を読み直す ―ジェンドリン「人格変化の一理論」講座

申し込み期日

2027年1月15日(金)

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